岐阜の家電企画会社ミュージーの社内ベンチャーとして誕生した「WEEK END」は、最初のプロダクトとなるアロマディフューザーをミラノサローネで発表しました。WEEK ENDはなぜはじまり、何を目指すのか。WEEK END代表の佐藤優のインタビューをご紹介します。(撮影:丸岡翔)
プロダクトの開発に携わるまで
もともとITエンジニアをしていたのですが、父が経営する家電製品を企画する会社に入社したのをきっかけに、プロダクトの開発に携わるようになりました。振り返ると、カナダで大学院を卒業するまで絵を描くことが好きで、デザインや現代美術の世界に憧れを感じていました。それから一旦は、ITの世界に身を置きましたが、ものをつくることへの興味は持ち続けていたので、誘いを受けたことをきっかけに入社を決めました。
ただ、入社して数年は自分の未熟さもあり、思い描いていた仕事ができず葛藤する日々が続きました。なかなか役に立てない自分にもどかしさを感じ、自信を失いかけたこともありましたね。
出会いの連鎖から生まれたプロジェクト
入社してしばらくは、ものづくりの基礎を学びたいと思い、プロダクト開発や3Dプリンターの講習を受けたり、地元の木材加工や金属加工メーカーにお願いして、加工技術や製造工程を見学させてもらっていました。
その中で、岐阜の地域資源を活用して身の回りの課題を解決できないかと考えるようになりました。そこで気づいたのが、木工、製紙、陶磁器、鉄鋼、繊維といった多くの産業がある岐阜は、宝の山なんじゃないかと。それから県内各地に出かけるようになりましたね。
そしてあるとき、木材加工メーカーの方の紹介で、間伐材を有効利用した精油の製造に携われている方に出会ったことでプロジェクトは動き出し、次々に新しい出会いを生みながらアロマディフューザーの開発は進んでいきます。
これからの時代に向けた人間らしい暮らしの探求
この仕事に就いて強く意識するようになったのは、単にこだわったプロダクトを作ることではなく、これからの時代に向けて人間らしい暮らしを探求し、日常をより良く生きるサポートをしたいという思いです。それをかたちに現せられるブランドをつくりたい。
そのために、なぜ暮らしに香りが必要なのか調査することから始め、精油生産者の声を聞き、エンドユーザーのニーズを理解するためアロマテラピーについて学びました。それらをベースに基本構造を社内のエンジニアとともに考案し、デザイナーの横関亮太さん、渋草柳造窯さんの力を借りることで、香りを楽しむ新しい道具を作り上げることができました。
「作り手」と「使い手」がつながるブランドを目指して
WEEK ENDのプロジェクトでは、既成概念にとらわれないモノづくりに挑戦し続けたいと思っています。流行を追いかけるのではなく、自由な発想と遊び心に満ちたWEEK ENDらしいアプローチで、ユニークな体験をつくっていきたいです。
ブランドの在り方としては、製造から販売、アフターサービスまで手掛けられるファブレスメーカーという立場から、「作り手」と「使い手」のつながりと信頼関係を大切にしていきたいと考えています。今後は、WEEK ENDの活動をもっと知ってもらえるように情報発信を増やしていきたいですし、様々なフィードバックをもとに私たち自身をアップデートしていきたいと思います。そうやって成長していく姿を見せられたら嬉しいですね。